11x:全自動でアポを取るAIエージェント〜CopilotではなくAutoPilot〜

https://www.11x.ai/

1. 基本情報

項目
内容
Company Name
11x
Founded
Headquarters
サンフランシスコ、アメリカ合衆国 【出典1】, 【出典3】
Founder(s) & Background
Funding Status & Total Raised
Series B, $76M 【出典4】
Key Investors
Andreessen Horowitz, Benchmark, Quiet Capital, SV Angel, Abstract Ventures, Lux Capital, Operator Partners, Visionaries Club, Activant, HubSpot Ventures, Project A, 20VC, 20Growth, 20Sales 【出典3】, 【出典1】, 【出典4】, 【出典5】
Latest Round & Date
Series B, 2024年11月 【出典6】
Official Website

Vision & Mission

11xは、AIを活用したデジタルワーカーの開発を通じて、人間の生産性向上に貢献するというビジョンを掲げています。【出典7】 具体的には、営業・マーケティング分野における反復的なタスクを自動化し、従業員がより創造的な業務に集中できる環境を作ることを目指しています。【出典8】 これは、彼らが「AIデジタルワーカーは人間の潜在能力を増幅し、従業員を反復的なタスクから解放して、戦略的、創造的、そして高付加価値の活動に集中できるようにする」と述べていることからも明らかです。【出典6】

※補足)2025年1月現在、日本では自律的に仕事をこなすAIがAIエージェントと呼ばれており、その言葉がトレンドになり始めています。海外では同様の意味合いをデジタルワーカー(Digital Worker)と呼んでいます。

2. 製品・サービス概要

11xはマニフェストとして「ソフトウェアの終焉(The End of Software)」を掲げて、AIを搭載した自律型デジタルワーカーを開発する企業です。【出典8】

11xのデジタルワーカーは、従来人間が行っていた営業・マーケティング業務を自動化し、企業の収益向上に貢献します。【出典7】, 【出典13】 また、大量のツールに埋もれてしまい、本来の業務に集中できないという営業チームの課題を解決し、データ入力やシステム管理といった非営業業務に費やされる時間を削減することで、営業担当者が顧客との関係構築に集中できる環境を提供します。【出典8】

主なデジタルワーカー

  • Alice 【出典9】, 【出典10】, 【出典2】
  • 営業開発担当者 (SDR) の役割を担うAIデジタルワーカー。見込み客の調査、複数チャネルでのエンゲージメント、パーソナライズされたアウトリーチなどを自動化します。キャンペーンの管理、リードの発掘、アウトリーチのパーソナライズを行い、従来のSDRよりも3倍高い応答率を実現します。【出典11】

  • Mike 【出典9】, 【出典11】
  • 多言語対応の電話担当者。30以上の言語で顧客対応を行い、リードへの応答時間を最大10倍高速化します。【出典8】

  • Jordan 【出典9】
  • 24時間365日対応の多言語電話担当者。30以上の言語で通話を処理し、リード応答時間を最大10倍高速化します。【出典8】

機能・特徴

  • 自律的な動作: デジタルワーカーは、人間が指示しなくても自律的にタスクを実行します。【出典10】
  • AIによるパーソナライズ: 各見込み客の状況に合わせて、パーソナライズされたメッセージを作成・送信します。【出典12】
  • 複数チャネル対応: メール、LinkedInなどの複数チャネルでアウトリーチ活動を行います。【出典12】
  • 既存システムとの連携: 既存のCRMや営業ツールと連携し、業務を効率化します。【出典12】
  • データ分析: 営業活動のデータ分析を行い、改善点などを示唆します。【出典12】

ターゲット顧客

11xのセットアップ

11xの導入は、以下のプロセスで行われます。【出典9】

  1. 初期セットアップ: 11xのプラットフォームにアクセスし、基本的な設定を行います。
  2. デジタルワーカーの設定: AliceやMikeなどのデジタルワーカーを設定し、役割やタスクを定義します。
  3. Aliceの設定: アウトリーチ対象、メッセージテンプレート、ターゲットチャネルなどを設定します。
  4. Mikeの設定: 対応言語、スクリプト、会話フローなどを設定します。

3. マニフェスト

11xはシリーズBでの$50Mの調達と合わせて発表したマニフェストの中で、ユニークなアプローチを掲げています。【出典8】

  • コーパイロットではなく、オートパイロット
  • マルチプロダクト戦略で、全ての領域を自社開発
  • 機能ではなく、アウトカムを重視
  • ソフトウェアライセンスではなく、デジタルワーカー
  • ID課金ではなく、タスクベースの課金
  • インテリジェンスシステム + 新しいSOR(System of Record)
  • 営業サイドのイネーブルメント

あわせて、Mikeの音声技術の強化のため、OpkitというAI Phone Callの会社の戦略的買収も発表しています。

4. 導入・パートナーシップ動向

導入事例

  • Siemens, ZoomInfo, AirTable, Pleo, ElevenLabsなどの大企業やスタートアップが11xのデジタルワーカーを導入しています。【出典1】
  • Spectingaは、Mikeを導入することで、国境を越えた営業活動を効率化し、月額最大2万ドルのコスト削減を実現しました。【出典15】
  • Otter.aiは、Aliceを導入することで、アウトリーチを拡大し、採用コストを50万ドル以上削減しました。【出典15】
  • Connecteamは、Aliceを活用して、これまで未開拓だった数十万件の古いリードにアプローチできるようになりました。【出典15】

パートナーシップ

  • Salesforceとのパートナーシップにより、11xのデジタルワーカーはSalesforceのプラットフォームと連携し、よりシームレスな営業活動を実現します。【出典11】

5. 市場からの評価

Media Coverage & Awards

  • 11xは、AI分野で最も注目されるスタートアップ企業の一つとして、多くのメディアに取り上げられています。【出典3】 Andreessen HorowitzやBenchmarkなど、著名なベンチャーキャピタルから資金調達を受けており、【出典5】 その技術力と将来性が高く評価されています。

User Feedback and Reviews

  • 11xのユーザーレビューは、全体的に肯定的なものが多く、特にリードのソーシング能力とサポート体制が高く評価されています。【出典14】
  • 一方で、メッセージのパーソナライズ機能や価格の透明性、契約の柔軟性など、改善点も指摘されています。【出典14】, 【出典16】

6. 競合環境・差別化要因

企業名
概要
資金調達額
Salesforce Einstein
SalesforceのCRMに組み込まれたAIプラットフォーム。営業、サービス、マーケティングなどの業務を支援する。
非公開
Gong.io
営業担当者の会話や行動を分析し、パフォーマンス向上を支援する収益インテリジェンスプラットフォーム。
非公開
Artisan.co
AIを活用した営業支援プラットフォーム。アウトリーチの自動化、パーソナライズ、分析などを提供する。
非公開
Leadsend.ai
AIを搭載した営業開発担当者 (SDR) ツール。見込み客の特定、アウトリーチ、エンゲージメントなどを自動化する。
非公開
UiPath
RPA (Robotic Process Automation) ソフトウェアを提供する企業。
$1.96B
LivePerson
会話型コマースプラットフォームを提供する企業。
非公開
Datamatics
テキスト分析とコグニティブオートメーションツールを提供する企業。
$3M
Drift
AIとクラウドベースのリード生成チャットボットを提供する企業。
$107M
HyperScience
ドキュメント処理のためのAIベースのRPAプラットフォームを提供する企業。
$439M
Automation Anywhere
AIベースのRPAプラットフォームを提供する企業。
$840M
Yellow.ai
企業向けAI搭載カスタマーサービス自動化プラットフォームを提供する企業。
$102M
17.ai
AIベースの顧客獲得およびエンゲージメントソリューションを提供する企業。
$22M
Kore.ai
カスタマーサポート用チャットボットを提供する企業。
$234M
Conversica
会話ボットプロバイダー。
$117M

差別化要因

  • 自律型AIエージェント 【出典7】: 11xは、単なるツールではなく、自律的に動作するAIエージェントを提供することで、真の営業自動化を実現しています。【出典8】 これは、従来の営業支援ツールとは一線を画す、11xの大きな強みです。
  • アウトカム重視 【出典10】: 11xは、ソフトウェアの販売ではなく、「成果」の販売を重視しています。【出典8】 彼らのデジタルワーカーは、実際に成果を上げることに重点を置いて設計されています。
  • 高度なパーソナライズ 【出典12】: 11xのデジタルワーカーは、高度なAI技術を活用し、各見込み客に合わせてメッセージをパーソナライズします。これにより、より高いエンゲージメント率とコンバージョン率を実現します。
  • 増分的な改善ではなく、変革的な改善 【出典7】: 11xは、既存の業務プロセスをわずかに改善するのではなく、AIの力で抜本的に変革することを目指しています。【出典8】 これは、彼らのデジタルワーカーが自律的に動作し、人間では不可能なレベルで業務を効率化できるという点に表れています。

7. 価格モデル・プラン

11xの価格設定は非公開で、詳細を知るにはデモを予約する必要があります。【出典14】

ただし、いくつかの情報源から、以下の価格モデルが示唆されています。

  • 月額5,000ドルから、3,000件の連絡先を含む 【出典16】
  • メール1件あたり約1.67ドル 【出典16】
  • 追加のメールボックスは、メールボックスあたり月額4ドルから 【出典16】

8. 将来展望

11xは、AIデジタルワーカーを通じて、営業・マーケティング分野の未来を創造していくことを目指しています。【出典10】 そのために、彼らは以下の計画を掲げています。

  1. Alice 2.0の開発
  2. 最新のエージェントAI研究を活用し、完全自律型で、ファーストパーティデータを活用し、インタラクションごとに学習を重ねて徐々に性能を向上させるAlice 2.0を開発中です。【出典11】

  3. 新たなAIエージェントの開発
  4. 今後1年間で、リード管理からパイプライン分析まで、より広範なGTMタスクを管理できる複数の新しいAIエージェントを立ち上げる予定です。【出典17】 各デジタルワーカーは、11人のフルタイム従業員の仕事を代替し、より広範なGTMタスクを管理できるようになると期待されています。【出典17】

  5. 積極的な事業拡大
  6. サンフランシスコでの積極的な収益成長と主要な採用活動を進める予定です。【出典17】

  7. グローバル市場への拡大
  8. アメリカ市場を中心に、グローバル市場でのプレゼンスを高める計画です。【出典18】

  9. AIを活用した成長フライホイールの構築
  10. 11xは、自社のAIデジタルワーカー「Alice」を積極的に活用することで、独自の成長戦略を展開しています。【出典19】 Aliceは、見込み客の特定、アウトリーチ、エンゲージメントなどを自動化し、11x自身のビジネス開発を加速させています。【出典19】 これは、AIの力を最大限に活用し、持続的な成長を創出するという、11xの革新的なアプローチを示しています。

9. まとめ

11xは、AIを用いた自律型の「デジタルワーカー」を提供することで、営業・マーケティング業務の大幅な効率化とイノベーションをもたらす注目企業です。主要投資家の支援を受けつつ、今後もさらなるAIエージェントの開発やグローバル展開に力を入れる見込みであり、業界の未来をリードするポテンシャルを秘めています。

引用文献